12月の話。
出張にかこつけて西宮へ。
FRAME*さんがメインの目的だったのだけど、プリントまでの時間待ちに
思い立って母校を訪ねることにした。
FRAME*と駅をはさんで逆側、小高い丘を登ると4年間通った大学がある。
今の時期はたしかクリスマスのイルミネーションで綺麗なはず。
当時ヒールの靴で歩くのはだるかった坂道。
クラスメイトの車で送ってもらったりもしたし、バスにも乗った。
方向は覚えているけど周辺の雰囲気はすこし変わっている。
まあ歩けばつくよ、と記憶を頼りに歩き出した。
冬の夕方、すでに日は暮れていた。
ほとんど街灯もない道を歩きながら、こんな暗いところを歩いた記憶がないと思った。
それはそのはず。学校の授業なんて18時には終わるのだ。
暗い道を帰ったことはあっても夜に学校へ向かったことなんて一度もない。
坂の上から授業を終えた学生たちが談笑しながら下りてくるのが見える。
すれ違った車を運転しているのは学生なのかもしれない。
曲がった坂道が終わり、まっすぐな一本道へ出る。ここまで来ればもうすぐ。
父親から現金の入った分厚い封筒を渡され、「自分で納めてこい」と言われ
初年度の授業料を払いに来たことを思い出した。
あのとき、あの現金に込められた意味を知らなかったなあと思う。
昔は正門近くからライトアップされてたと記憶していたのだけど
その日は時計台の近くに飾り付けがしてあった。
記憶よりもずっとシンプルだった。色はもっとあったようにも思うのだけど。
中央芝生の真ん中に立って正面から見た。懐かしかった。
ふらふらと敷地内を歩く。
変わったところもあるけれど、基本的にはなにも変わってないようにも思えた。
この建物は商学部だったか?
どこかの教室へ至る階段。
ここを下りてなにかの授業に駆け込んだりもしたような。
自分の学部以外のあちこちの教室で受けた授業の記憶は
ごちゃごちゃしていてはっきり思い出せない。苦笑
学生会館、これも昔からほとんど変わらない。
見取り図を見たら、当時参加していたサークルの部屋がまだあった。
何十年も続いていることに驚いて、そしてほんのちょっと誇らしい気持ちにもなった。
でも訪ねてみたりはしない。
あたりまえだ。OBヅラして突然学生のくつろぎの場に闖入したりはしない。
というよりも、思い出は思い出のままだからいいのだ、という気持ちのほうが大きい。
いろんなことが懐かしかった。
懐かしい、と思える程度には年をとったのだな、と思った。
遠くまできたものだ、という気持ちといまの自分に後悔はないぞ、という気持ちで
時計台を後にした。もちろん帰りはバスで。笑
小一時間の思い出巡り。
思い切って行ってみてよかったな。
なんだか気持ちがクリアになった気がする。